
少し前のことになりますが、2025年8月30日に開催された「日本動物リハビリテーション学会」に参加してきました。
私は理事として学会活動に関わっており、今回は症例発表セッションで一部座長を務めさせていただきました。緊張感の中にも充実した時間を過ごすことができました。
リハビリテーション医師による特別講演
今回の学会では、北海道大学大学院保健科学研究院リハビリテーション科学分野 教授 遠山晴一先生によるご講演が行われました。
テーマは「リハビリテーション医師の仕事と、多職種連携の重要性」。
人の医療現場では医師・理学療法士・看護師など多くの職種がチームで患者さんを支えていますが、獣医療の現場では獣医師と愛玩動物看護師、動物ケアスタッフなど、限られた職種での対応が中心です。遠山先生のお話から、動物医療の分野でも“多職種連携”の考え方を取り入れることの大切さを改めて感じました。今後、動物病院にもより多様な専門職が関わる体制が広がっていくことを期待しています。
学会としての「動物リハビリテーション」の定義
新しく会長に就任された柄本浩一先生からは、「獣医療における動物リハビリテーションとは」というテーマで、学会としての定義が発表されました。
人の医療分野では、WHOが“リハビリテーション=生活のすべてに関わるもの”として広く定義しています。これまで動物医療の現場では、「リハビリテーション」と「理学療法」が混同されることも多くありましたが、今回学会としての明確な定義が示されたことは大きな前進だと思います。今後、この考え方が多くの方に広く伝わっていくことを願っています。
充実した症例発表と座長としての経験
今回の症例発表では、なんと10症例が集まりました。
犬の車椅子、変性性脊髄症、椎間板ヘルニア、膝蓋骨脱臼、肩関節亜脱臼、大腿骨骨頭切除術後など、幅広いテーマが発表されました。
さらに今回は、動物園のペンギンのリハビリテーションという珍しい発表もあり、どの発表も非常に興味深い内容でした。
私は車椅子に関する3症例の座長を務めさせていただきましたが、発表内容の充実度が回を重ねるごとに高まっており、現場で日々研鑽を重ねておられる皆さまの努力を肌で感じました。私自身も身が引き締まる思いでいっぱいでした。
学会ロゴの決定と「KURASOO」の原点
今回の学会は一般社団法人として新たなスタートを迎え、その記念として新しいロゴの最終投票が行われました。
KURASOOのロゴを決めたときのことを思い出しながら、学会の節目に立ち会えたことを嬉しく感じました。KURASOOのロゴは、犬の影絵に人の手のぬくもりを重ね合わせたデザインで、「いつも通りの毎日のお手伝い」という想いを込めて作りました。
この日、改めてその原点を思い出す機会となりました。
理学療法士としての仲間の広がり
懇親会では、多くの参加者が集う中で理学療法士だけのテーブルができるほど、仲間の輪が広がっていました。さらに今回は、日本理学療法士協会の板倉理事をはじめ、協会事務局の方々にもご参加いただき、今後の活動に向け大変心強く感じました。
動物リハビリテーションの分野が、確実に広がりを見せていることを実感した一日でした。
これからも、人と動物のより良い“暮らし”を支えるために、学びと実践を重ねていきたいと思います。



